【東京 11月20日】
岩波書店は本日、新たな教養書シリーズとなる「岩波新書」の刊行を開始した。第一弾として数冊が店頭に並び、学問・文化・社会問題を広く一般読者に届けることを目的とした、小型で廉価な新書判シリーズとして注目を集めている。
同社によれば、専門書と大衆向け読み物の中間に位置する“知の架け橋”を作ることが狙いで、読者にとって手に取りやすく、携帯しやすい判型を採用。価格も数十銭台に抑え、知識の普及を第一義とする姿勢を強調した。書店には朝から大学生や教員、文化人らが足を運び、小さな赤い背表紙の本を手に取りながら「新しい時代の教養本だ」と語る姿が見られた。
創刊ラインナップには、哲学・歴史・自然科学・社会問題など多様な分野が含まれ、第一線の研究者・批評家が執筆。難解な理論を一般向けに噛み砕きつつ、学問の核心は損なわない編集方針が採られている。出版不況が続く中で、あえて新たなシリーズを立ち上げた背景には、「読者が良質な知識を求めている」という同社の信念があるという。
今後は、月ごとに追加刊行を進め、数年以内に百冊規模の体系を構築する計画も示されている。知識への道を広く開く試みとして、出版界からも大きな期待が寄せられている。
— RekisyNews 文化面 【1938年】
