【東京 11月12日】
松竹映画最新作『愛国の花』が本日より全国の劇場で一斉公開された。戦時下の日本社会を背景に、女性の貞節と奉公精神を描いた本作は、政府の奨励する「国策映画」として製作されたもので、封切初日から劇場前には長蛇の列ができる盛況ぶりとなった。
物語は、戦地へ赴いた婚約者を想いながら、故郷で家族や地域に尽くす若き女性を主人公に展開する。苦境の中でも信念を失わず、「銃後の守り手」として己の務めを果たすその姿は、観客の胸を打つ。
本作は、文部省の検閲と推薦を経て製作されたものであり、劇中には「大東亜戦争」への正義を強調する描写や、銃後の女性たちへの模範的行動が多数盛り込まれている。主題歌「愛国の花」も同時に発表され、街頭スピーカーやラジオ放送でも流され始めている。
松竹関係者は「この作品が、家族を思い、郷土を守る人々の心に寄り添い、国民精神の昂揚につながることを願っている」と語る。
国を挙げての戦争遂行が続くなか、こうした文化作品による啓蒙もまた、重要な役割を果たしている。
— RekisyNews 文化面 【1942年】
