【ロンドン 11月2日】
本日、イギリス政府を代表してアーサー・バルフォア外相が、ユダヤ人シオニスト連盟代表ライオネル・ロスチャイルド卿宛に書簡を送り、パレスチナにおけるユダヤ人の「民族的郷土(National Home)」建設を支援する方針を明らかにした。
この書簡は、いわゆる「バルフォア宣言」と呼ばれ、長年にわたりディアスポラ(離散)を続けてきたユダヤ人にとって、歴史的転機となる可能性がある。
バルフォア外相は書簡の中で次のように述べている。
「彼らの歴史的な故郷であるパレスチナに、ユダヤ人の民族的郷土を建設することを、英国政府は好意的に捉えており、その実現を助けるため最善を尽くす用意がある」
ただし同時に、
「現地に住む非ユダヤ人の市民的・宗教的権利、ならびに他国に住むユダヤ人の権利や地位を損なうことはない」
とも明記されており、アラブ系住民への配慮にも言及されている。
本宣言は、ユダヤ系の国際的支援を得るとともに、第一次世界大戦の戦局において英仏と協調する中東政策の一環とも見られている。イギリスは現在、オスマン帝国との戦争状態にあり、パレスチナ一帯はまだオスマン支配下にある。
一方で、すでに現地に暮らすアラブ人住民の反発や、フサイン・マクマホン書簡との整合性など、今後の中東政策に大きな波紋を広げる可能性も否定できない。
— RekisyNews 国際面 【1917年】
