【ウィーン 10月3日】
ロシア帝政から逃れた革命家たちの間に、新たな言論の灯がともった。本日、亡命中のレフ・トロツキー氏を中心とする編集部が、ロシア語新聞『プラウダ(真実)』をウィーンで創刊した。
この『プラウダ』は、社会民主主義的立場から帝政ロシアの抑圧を糾弾し、国外から労働者階級に向けて革命思想を伝えることを目的としている。創刊号では、トロツキー氏が自ら筆を執り、革命の理論的正当性と、連帯の重要性を説いている。
なお、本紙は後にサンクトペテルブルクで創刊されるレーニン率いるボリシェヴィキの機関紙『プラウダ』(1912年創刊)とは別物であり、今号の発行にあたってもレーニン派との明確な路線の違いが意識されている。
配布は主に国外在住のロシア人読者に向けて行われるが、密かにロシア国内への流入も想定されている。編集部は「真実の声を、一人でも多くの労働者に届けたい」と語った。
この小さな新聞が、どれほど大きな波紋を呼ぶかは未だ定かではないが、亡命者たちの言論戦は、静かに始まった。
— RekisyNews 国際面 【1908年】