日本初の民間放送ラジオ、CBCとNJBが同日開局

 【名古屋・大阪 9月1日】

本日、戦後日本の放送史に新たな一歩を刻む出来事があった。名古屋の中部日本放送(CBC)と大阪の新日本放送(NJB)の2局が同時に開局し、日本初の民間ラジオ放送が正式にスタートした。これまでラジオといえば国営のNHKが独占してきたが、今回の開局により、放送界は大きな転換点を迎えた。

名古屋で開局したCBCは、地元財界や新聞社の出資を受けて設立された民間放送局で、午前6時に第1声を発信。「皆様、おはようございます。ここは中部日本放送です」というアナウンスが流れると、名古屋市内の家庭や商店街から大きな歓声が上がった。開局初日の番組はニュース、音楽、娯楽を交えた編成で、リスナーに親しみやすさを意識した構成となっている。

一方、大阪のNJB(新日本放送)も同時刻に開局し、「市民に寄り添う放送」を掲げた番組を開始。関西の商業文化を背景に、地元寄席の生中継や人気歌手のライブ放送など、娯楽色豊かな企画を多数用意している。駅前や繁華街ではスピーカーから流れる開局記念番組を聴き入る市民の姿も見られ、街全体が祝賀ムードに包まれた。

放送関係者の間では、「民間ならではの柔軟な発想と多彩な番組作りが、今後のラジオ文化を大きく発展させる」との声が上がる一方、「広告収入への依存で報道の独立性は保てるのか」という懸念も指摘されている。だが、戦後復興が進む中で、人々が求める娯楽や情報を届ける新たな手段として、民間ラジオの役割はますます重要になると見られている。

この日、名古屋と大阪から始まった2つの声は、日本の放送史を塗り替える第一歩となった。市民の耳に届く“自由な電波”が、これからどのような物語を紡ぐのか、大きな期待が寄せられている。

— RekisyNews 社会面 【1951年】

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