【リオデジャネイロ 12月19日】
本日、ブラジルに永久譲渡されていた初代FIFAワールドカップトロフィー「ジュール・リメ・トロフィー」が盗難に遭ったことが明らかになった。トロフィーは、リオデジャネイロ市内のサッカー連盟関連施設に保管されていたが、何者かによって持ち去られたとされ、警察が捜査に乗り出している。
ジュール・リメ・トロフィーは、1930年に始まった世界選手権の象徴として制作され、ブラジル代表が大会で三度優勝したことにより、規定に基づいて同国へ永久譲渡されていた。世界サッカーの歴史と栄光を体現する存在として、国内外から特別な敬意を集めてきた。
関係者によれば、保管場所には侵入の形跡があり、計画的な犯行の可能性も指摘されている。警察当局は、美術品や貴金属の闇取引ルートも視野に入れ、捜索を進めているが、現時点で有力な手掛かりは得られていないという。サッカー界からは、文化的・歴史的損失の大きさを懸念する声が相次いでいる。
FIFA関係者は、今回の事件を重く受け止め、再発防止策の検討を進める意向を示した。長年にわたり世界の頂点を象徴してきたトロフィーの行方は依然として不明であり、その帰趨が注目されている。
— RekisyNews 国際・スポーツ面 【1983年】
