日本初の五輪予選会、羽田で開幕 選手たちが世界への第一歩

マラソン号砲の瞬間

【東京・羽田 11月18日】

日本で初めてとなるオリンピック予選会が、本日羽田運動場で開幕した。来年ストックホルムで開催される国際競技大会への参加を目指し、陸上・競泳・体操など各競技の有力選手が全国から集結。日本の体育史に新たな一頁を刻む催しとして注目を浴びている。

午前の開会式には大日本体育協会(会長:嘉納治五郎)や文部省の関係者が出席し、嘉納会長は「日本の青年が世界に挑む時が来た」と訴えた。まだ代表制度も整わぬ中、選考基準は各競技の記録と適性を総合して判断される方式が採られ、選手たちは自前の道具を手に、緊張の面持ちでスタートラインに立った。

陸上競技では短距離・長距離・走り幅跳びなどの種目が行われ、沿道やスタンドには数千人の観客が詰めかけた。若き選手たちが風を切って走るたび、羽田の海風に応援の声が響く。競泳の選手たちは簡素な木製プールで全力の泳ぎを披露し、体操では軍隊式の訓練経験を生かした演技が続いた。

大会は明19日まで続き、選考された選手の中から、日本代表として世界の舞台に挑む人材が選ばれる見通しだ。日本が国際スポーツへ本格的に歩みを進める最初の試みとして、その意義は大きい。

— RekisyNews スポーツ面 【1911年】

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