【東京 11月4日】
プロ野球・読売ジャイアンツの王貞治選手(40)が、本日正式に現役引退を表明した。通算868本塁打という前人未踏の記録を打ち立てた国民的打者が、22年間の現役生活に幕を下ろすこととなった。
記者会見は東京・後楽園球場内で行われ、王選手は詰めかけた報道陣を前に、静かに言葉を選びながら引退を語った。
「これまで多くの人に支えられてここまで来られました。バットを置くことに悔いはありません」と語るその姿は、穏やかな笑顔とともに気丈さをにじませていた。
王選手は1960年、早稲田実業から巨人に入団。当初は投手としての道を模索したが、打者へ転向後に開花。一本足打法を武器に、1962年に初の本塁打王を獲得して以降、15年連続本塁打王、打点王13回、MVP9回など数々のタイトルを独占。1977年には世界記録となる通算756号本塁打を達成し、王の名は世界中に知られるようになった。
また、長嶋茂雄氏との「ON砲」は巨人V9時代の象徴となり、昭和のプロ野球を牽引。引退の報を受け、全国のファンからは惜しむ声が相次いでいる。
球団関係者によると、今後は指導者としての起用も視野に入れて協議中とのこと。“世界の王”はバットを置いても、球界を見守る存在であり続ける。
— RekisyNews スポーツ面 【1980年】
