【カタール・ドーハ 10月28日】
1994年アメリカW杯アジア最終予選の最終節、日本代表はイラク代表と2対2で引き分け、初のW杯出場を目前で逃すという結末を迎えた。 終盤まで勝利目前に迫りながら、ロスタイムに喫した同点弾は、日本サッカー史に残る痛恨の瞬間となった。
試合はカタール・ドーハのアルアリ・スタジアムで行われた。グループ首位のサウジアラビアが韓国を下したため、日本は勝利すれば自力でのW杯初出場が決まる状況。 序盤から緊張感に包まれる中、日本はカズ(三浦知良)のゴールで先制、イラクに追いつかれたものの、後半には中山雅史の勝ち越し弾で再びリード。
しかし運命は、日本にあまりに残酷だった。後半ロスタイム、イラクがCK(コーナーキック)から渾身の一撃。これがゴールに吸い込まれ、日本は土壇場で同点に追いつかれる。 試合終了の笛と同時に、選手たちはその場に崩れ落ちた。
この結果、日本は勝ち点7でグループ3位となり、サウジアラビアと韓国にW杯出場権を譲る形に。 ベンチにいたオフト監督も沈黙を貫き、観客席には日本から駆けつけた応援団のすすり泣く声が響いた。
サッカー協会関係者は「あと数秒のところで届かなかった…それが現実だ」と語り、選手たちの健闘を称えながらも、結果の重さを受け止めていた。
この一戦は「ドーハの悲劇」として、今後長く語り継がれることは確実であり、また日本サッカー界にとって転機となる試練でもある。 悔しさの先に、新たなステージへの道があることを信じて、再出発が求められている。
— RekisyNews スポーツ面 【1993年】
