ミスターシービー、秋の府中で歴史刻む――天皇賞制覇でシンザン以来の四冠達成

【東京競馬場(府中) 10月28日】

本日行われた第90回天皇賞(秋)(芝2000メートル)にて、クラシック三冠馬ミスターシービー(牡4歳、美浦・松山康久厩舎)が快勝し、史上2頭目となる「四冠馬」の偉業を達成した。 これは1964年の名馬シンザン以来、実に20年ぶりの快挙であり、競馬史に新たな金字塔が打ち立てられた。

レースは快晴の東京競馬場で行われ、約10万人の観衆が詰めかけた。1番人気に推されたミスターシービーは、例によって後方待機から末脚勝負に構え、直線で大外から鋭く伸びて差し切り勝ち。 2着に入ったテュデナムキングを3/4馬身差で抑え込む堂々たる勝利となった。

父トウショウボーイ譲りの華麗な切れ味と、母シービークインの血統を受け継ぐタフな底力を兼ね備えた同馬は、昨年の皐月賞、日本ダービー、菊花賞で三冠を制覇。 その後も第一線で活躍を続け、今回の天皇賞でついにクラシック三冠+天皇賞(秋)という「四冠」達成を果たした。

鞍上の吉永正人騎手はレース後、「あの瞬発力は今までのどの馬とも違う。本当にすごい馬です。夢の続きを見せてもらいました」と興奮冷めやらぬ様子で語った。

今回の勝利は、シンザン以来の伝説を現代に蘇らせるものであり、ミスターシービーが名実ともに“近代日本競馬の象徴”となったことを意味する。 一方、敗れたカツラギエースやギャロップダイナら有力馬も善戦し、今後の古馬戦線の展開にも注目が集まる。

次走は有馬記念が有力視されており、さらに“五冠”を目指す挑戦が期待される中、府中の直線を駆け抜けた青鹿毛の姿は、観客の脳裏に深く刻まれたことだろう。

— RekisyNews スポーツ面 【1984年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次