【カトマンズ 10月16日】
イタリアの登山家ラインホルト・メスナー氏(42)が本日、ヒマラヤ山脈のローツェ(8,516メートル)に登頂し、これにより世界の8,000メートル峰すべて、全14座の完全登頂を人類史上初めて成し遂げた。
この偉業は、1950年代から始まった8000メートル峰の登頂競争において、長らく「夢」とされていたもので、メスナー氏は1960年代から単独登頂や酸素ボンベなしでの挑戦を重ねてきた。とりわけ1978年には酸素ボンベなしでのエベレスト初登頂に成功し、「アルパインスタイルの革命家」として世界の注目を集めた。
今回のローツェ登頂をもって、以下のヒマラヤ・カラコルム山系の全14座(すべて標高8,000メートル以上)の登頂を完遂したことになる:
- エベレスト(8,848m)
- K2(8,611m)
- カンチェンジュンガ(8,586m)
- ローツェ(8,516m)
- マカルー(8,485m)
- チョ・オユー(8,188m)
- ダウラギリ(8,167m)
- マナスル(8,163m)
- ナンガ・パルバット(8,126m)
- アンナプルナ(8,091m)
- ガッシャーブルムⅠ(8,080m)
- ブロード・ピーク(8,051m)
- ガッシャーブルムⅡ(8,035m)
- シシャパンマ(8,027m)
メスナー氏は、「これは私の人生の旅だった」と語り、登頂主義を追い求めてきた哲学をにじませた。
その驚異的な身体能力と精神力、そして商業登山の拡大とは一線を画す“純粋な登山”の象徴的存在として、今後も世界の登山界に語り継がれるであろう。
— RekisyNews 国際面 【1986年】
アイキャッチ画像 GianAngelo Pistoia – 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48181320による