長嶋茂雄、現役引退を表明──「すべてを出し尽くした」神宮で静かなる決断

【東京 10月12日】

本日、神宮球場で行われた読売ジャイアンツの今季最終戦(対ヤクルト戦)終了後、チームの象徴である長嶋茂雄内野手(38)が記者会見を開き、現役引退を表明した。会見は球場2階の貴賓室で開かれ、関係者と報道陣に見守られる中、静かに心境を語った。

長嶋選手は、落ち着いた口調で「本日をもちまして、プロ野球選手としてのユニフォームを脱がせていただきます」と述べたうえで、「すべてを出し尽くしました。今は、心の中で静かに燃え尽きた思いです」と語り、20年近くに及ぶ現役生活に幕を下ろす決意を明らかにした。

1958年のプロ入りから今季まで、長嶋は通算444本塁打、2471安打、1522打点という成績を残し、読売ジャイアンツの黄金時代を築き上げた立役者の一人。ON砲と称された王貞治とのコンビはV9を支え、彼の華麗な三塁守備やダイナミックな打撃スタイルは、野球ファンの記憶に深く刻まれている。

今季は打撃面で苦しむ場面も見られ、引退を惜しむ声が上がる中での突然の決断に、球団首脳やチームメートも一様に驚きを隠せない様子だった。本人は今後について、「野球には何らかの形で関わっていきたい」とし、指導者としての道にも含みを持たせた

日本球界の象徴ともいえる“ミスタープロ野球”の引退は、多くのファンにとって一つの時代の終わりを意味する。記者会見の終了後、神宮球場の外ではファンが静かに集まり、「長嶋さん、ありがとう」と手を合わせる姿も見られた。

— RekisyNews スポーツ面 【1974年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次