【メキシコシティ 10月12日】
標高2,240メートルの高地に位置するメキシコの首都で、本日第19回夏季オリンピック競技大会が華やかに開幕した。中南米では史上初の開催であり、開会式は午後5時(日本時間13日午前8時)より、エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオにて盛大に挙行された。
会場には10万人を超える観客が詰めかけ、色鮮やかな民族衣装に身を包んだホスト国メキシコのパフォーマンスに歓声が上がった。IOCのブランデージ会長が式辞を述べた後、メキシコ大統領グスタボ・ディアス・オルダス氏が開会を宣言。大会の火を灯す聖火ランナーには、女性陸上選手のエンリケタ・バジケスが起用され、女性による聖火点火も史上初となった。
参加国は過去最多の112か国にのぼり、5,000人以上の選手団が入場行進。日本代表団は日の丸の旗を掲げ、柔道・猪熊功選手を旗手に堂々と登場。各国の選手たちは、独特の薄い空気に対する調整の難しさと戦いながら、熱い戦いに挑む構えを見せている。
開幕に先立ち、開催国メキシコでは10月2日に発生した学生デモの弾圧事件(トラテロルコ事件)により社会的緊張が高まっていたが、政府は厳重な警備体制を敷き、大会運営の安全を確保した。
今回の大会は、陸上競技や水泳での高地による記録更新が注目されており、特に短距離走や跳躍競技では好条件と見られている。加えて、女性参加種目の拡大や電子計時の導入など、技術面でも新時代の到来を印象づける大会となりそうだ。
競技は27日まで行われ、17日間にわたり世界最高峰の技と力がぶつかり合う。
— RekisyNews スポーツ面 【1968年】
アイキャッチ画像 Sergio V. Rodriguez – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=76373272による