【ハートフォードシャー 10月5日】
本日、ロンドン北部の郊外にて、イギリス初の「個人タイムトライアル形式」による自転車レースが開催された。
この新しい競技スタイルは、選手が一斉に走るのではなく、一定の間隔をあけて1人ずつスタートし、50マイル(約80キロ)の走行時間を競う形式。
これまでにない“孤独な戦い”が展開され、速度だけでなく精神力も問われる過酷なレースとして注目を集めた。
会場となったのはハートフォードシャー近郊の比較的交通量の少ない郊外路。
参加者は数十名にのぼり、各選手は30秒間隔で順次スタート。自らのペースで走り抜けるため、ドラフティング(風よけ)や接触による危険が少ないことが利点とされる。
この形式の背景には、公共道路における競技走行が警察によって厳しく制限されつつある事情がある。主催者は公道での“集団レース”を避けるため、「レースではなく個人の時間測定」として実施を申請。結果として問題なく実施され、今後も同様の形式が広がる可能性があるという。
観衆は少なかったものの、関係者の間では「新時代の到来」とする声も上がっている。
スピードだけでなく、自らの力と向き合う“時計との対話”――自転車競技の新たな潮流が、静かに始まった。
— RekisyNews スポーツ面 【1895年】