【ニューヨーク 9月29日】
本日行われたメジャーリーグ・ワールドシリーズ第1戦において、ニューヨーク・ジャイアンツの外野手ウィリー・メイズ(23)が見せた驚異の守備が、全米に衝撃を与えた。
通称「ザ・キャッチ」として語り継がれるであろうこのプレイは、延長戦に持ち込まれるかと思われた試合展開を劇的に変えた。
舞台はポロ・グラウンズ。8回表、1アウトランナー1・2塁のピンチ。クリーブランド・インディアンスのヴィック・ワーツが放った大飛球は、中堅深くへと伸び、誰もが長打を確信した。
しかし、メイズは背走のまま白球を見失うことなく追い続け、フェンス手前で華麗にキャッチ。さらに驚くべきはその後で、捕球直後、反転してワンステップで返球、走者の生還をも阻止した。
スタンドは騒然とし、敵味方を問わず観客全員がそのプレイにスタンディングオベーションを送った。
ジャイアンツのダスティ・ローズは「野球の神様がウィリーを送ったのかと思った」と興奮気味に語る。
試合はこのプレイを機に流れが変わり、延長10回裏、ジャイアンツが劇的なサヨナラ勝利を収めた。
メイズの一瞬の閃きと圧倒的な身体能力が、シリーズ初戦を制した最大の要因となったことは疑いない。
このキャッチは、メジャーリーグの歴史において屈指の守備として今後も語り継がれることになるだろう。
— RekisyNews スポーツ面 【1954年】