【ニューヨーク 9月29日】
ニューヨーク・ヤンキースの主砲、ベーブ・ルース外野手(32)が本日、今季60本目の本塁打を放ち、メジャーリーグにおけるシーズン最多本塁打記録を更新した。本塁打王の称号を欲しいままにしてきた「スルタン・オブ・スワット」は、再び球史に残る偉業を打ち立てた。
快挙が生まれたのは、本日ヤンキー・スタジアムで行われたワシントン・セネターズ戦の第8回裏。カウント2ボール2ストライクから、セネターズの投手トム・ザカリーが投じた内角高めの速球を捉えた打球は、右翼スタンド深くへと一直線に飛び込み、場内は熱狂の渦に包まれた。
ルースはこれまでの記録保持者である自身の記録(59本、1921年)を更新するかたちとなり、再び「記録を破るのはルースだけ」との声が高まっている。打ち終えたルースはベンチ前で待ち受けるチームメイトと熱い抱擁を交わし、スタンドからは「ベーブ」コールが鳴り止まなかった。
試合後の会見でルースは、「ファンの声援があってこその記録だ。これからも野球を愛し続ける」と、満面の笑みで語った。
ヤンキースは今季も快進撃を続けており、“殺人打線(マーダラーズ・ロウ)”と称される攻撃力の中でも、ルースの存在は際立っている。今回の記録更新は、単なる個人記録を超え、野球というスポーツの可能性を広げる象徴的な一打として、後世に語り継がれることとなるだろう。
— RekisyNews スポーツ面 【1927年】