【東京 9月21日】
本日、東京都内で開かれた日本野球機構(NPB)の実行委員会において、フリーエージェント(FA)制度の導入が正式に決定された。戦後一貫して“球団優位”の体制をとってきたプロ野球界において、選手の移籍自由化を認めるこの決定は、歴史的な転換点となる。
新制度では、一定年数以上の一軍登録期間を経た選手が、所属球団の許可なしに他球団と契約交渉が可能となる。制度の詳細や導入時期については今後詰めの議論が行われるが、早ければ1994年シーズン終了後からの実施が見込まれている。
背景には、選手会側が長年求めてきた「職業選択の自由」や、アメリカ・メジャーリーグにおけるFA制度の定着がある。特に、近年は大物選手の年俸高騰や戦力偏在が問題視されており、透明性と公正性のある移籍ルール整備が急務とされていた。
記者会見で発言した関係者は、「選手の権利を認めながらも、球団経営の健全性を保つ制度設計が必要。バランスを取る形で段階的に進めていく」とコメント。また、選手会側も「大きな前進だが、年数や補償制度の見直しなど改善点は多い」と冷静に受け止めている。
ファンの間では早くも、「贔屓の選手が出て行くのでは」といった不安と、「新天地での活躍が見たい」といった期待が交錯している。“球団に縛られ続けたスター選手”が自らの意志で新たな舞台を選ぶ日が、いよいよ現実味を帯びてきた。
— RekisyNews スポーツ面 【1993年】