【フィラデルフィア 9月19日】
本日、シャイビー・パークにて、フィラデルフィア・アスレチックスが地元での最後の公式戦を迎え、52年にわたるこの街での歴史に静かに幕を下ろした。対戦相手はニューヨーク・ヤンキース。試合は5対2で敗れたが、スタンドには別れを惜しむ2万人を超えるファンが詰めかけ、声援と拍手が途切れることはなかった。
アスレチックスは1901年のアメリカン・リーグ創設以来、フィラデルフィアに本拠地を置き、計5度のリーグ優勝、3度のワールドシリーズ制覇を成し遂げた名門球団。その黄金時代を築いたのが、長年監督を務めたコニー・マック氏であり、彼の名は今なおファンの記憶に深く刻まれている。
今季は成績不振が続き、球団の財政難も深刻化。移転の噂が絶えなかったが、来季よりカンザスシティへの移転が正式に決定。これにより、長年フィリーズとアスレチックスという2球団を擁してきたフィラデルフィアは、ナショナル・リーグのフィリーズのみが残る形となる。
試合後、選手たちはファンへの感謝を込めてグラウンドを一周。多くの観客が立ち上がり、帽子を振り、涙を拭いながら別れを告げる姿が印象的だった。
かつての名投手エディ・プランクやスラッガーのジミー・フォックスなど、多くのスター選手を輩出したアスレチックス。今日という日は、彼らが駆け抜けた球史の舞台に一つの句読点が打たれた瞬間だった。
「アスレチックスの帽子はこれからも誇りだ」と語る古参ファンの言葉が、静かに夜のスタジアムに残響を残した。
— RekisyNews スポーツ面【1954年】