【カイセンス 9月18日】
本日、元アメリカ空軍大佐のジョゼフ・キッティンジャー氏(56)が、史上初となる熱気球による単独大西洋横断飛行を達成した。フロリダ州カーボベルデを出発してから約86時間、無着陸でポルトガル領カイセンスに着陸。長年にわたり挑戦が続けられてきた熱気球による大西洋単独飛行が、ついに人類の手によって成し遂げられた。
使用された熱気球は「ロージー・オグレイディ号」と名付けられたガス気球。天候の急変や風向きの不安定さなど、いくつもの危機に直面しながらも、キッティンジャー氏は高度約3,000メートルでの操縦を維持し続けた。食料や酸素、通信機器を積み込んだ機体は、総重量1トンを超えたとされる。
氏は1960年にも成層圏からのスカイダイビング(高度31,300メートル)で記録を打ち立てており、今回の偉業は「空の開拓者」としての面目をさらに強く印象づけた。到着後の会見では「誰かがやらねばならなかった。それが自分で良かった」と笑顔で語った。
今回の飛行は、航空技術の進歩と人類の挑戦精神の象徴として、世界中から称賛を集めている。熱気球での太平洋横断や月周回への夢なども、今後さらに現実味を帯びるかもしれない。
— RekisyNews 国際面 【1984年】