【デンバー 9月17日】
本日、ロサンゼルス・ドジャースの先発投手・野茂英雄が、コロラド・ロッキーズとの敵地マイル・ハイ・スタジアムでの試合で、メジャーリーグ史上屈指の打者有利とされる高地球場にて、ノーヒット・ノーランを達成した。1995年のメジャーデビューからわずか2年での快挙に、球場は驚きと称賛に包まれた。
野茂は、序盤からロッキーズ打線を手玉に取り、持ち味のトルネード投法から繰り出されるフォークボールと直球のコンビネーションで三振の山を築いた。特に6回以降は制球力にも冴えを見せ、無四球での完封が期待される中、四球こそ1つ与えたものの、打たせて取る投球で冷静に試合を運んだ。
9回裏、観衆のスタンディングオベーションが鳴り響く中、野茂は最後の打者を内野ゴロに打ち取り、マウンド上で大きくガッツポーズ。試合後のヒーローインタビューでは「この球場でノーヒットに抑えられたのは自分でも信じられない。チームメイトの守備にも感謝したい」と語り、チームの勝利と記録をともに喜んだ。
マイル・ハイ・スタジアムは海抜1,600メートルに位置し、打球が飛びやすいことで知られる“打者天国”である。そんな環境下でのノーヒッターは、メジャーの長い歴史の中でも極めて稀であり、野茂はその快挙を異国の地で再び成し遂げた。
これで野茂は、メジャー史上わずか数人しかいない、両リーグの異なる球場で複数回ノーヒット・ノーランを記録した投手の一人となった。日本の野球ファンはもちろん、現地メディアも「トルネードが再びアメリカを席巻した」と大々的に報じている。
— RekisyNews スポーツ面 【1996年】