【ニューヨーク 9月14日】
米メジャーリーグ機構(MLB)は本日、選手会によるストライキの長期化を受け、今季のワールドシリーズを中止することを正式に発表した。ワールドシリーズの中止は、1904年の開催見送り以来、実に90年ぶりの異例の事態となる。
今回のストライキは、選手側が球団オーナーによるサラリーキャップ制度導入案に強く反発したことから、8月12日より全選手が無期限のストに突入。以降、交渉は何度も行われたものの歩み寄りは見られず、レギュラーシーズンの残り試合とポストシーズンを断念せざるを得ない状況となった。
ワールドシリーズは、アメリカン・リーグとナショナル・リーグの覇者同士が争う米国最大の野球イベントであり、テレビ中継や関連産業を含めた経済効果は数百億ドル規模にのぼる。その中止は、ファンのみならず放送各局やスポンサー、観光業にも大きな打撃を与えることが予想されている。
MLBのバド・セリグ暫定コミッショナーは記者会見で「この決定は非常に残念であり、メジャーリーグの歴史にとっても黒い一日となった。だが、安全と誠実な交渉の場を維持するためにはやむを得なかった」と語った。
一方、選手会側のドナルド・フィアー事務局長は「選手たちはこのスポーツの未来を真剣に考えている。球団側が公平な収益分配に応じるまでは妥協できない」と、譲歩を拒む姿勢を崩していない。
各球場前には失望と怒りを隠せないファンの姿も多く見られ、あるニューヨーカーは「これはファンへの裏切りだ。子どもたちにどう説明すればいいのか」と語った。
米国スポーツ界の象徴的存在とも言えるワールドシリーズの中止は、今後のプロスポーツ界全体にも深い影響を及ぼすこととなりそうだ。
— RekisyNews 国際スポーツ面 【1994年】