【広島 9月14日】
プロ野球ファンに衝撃と興奮が走った。本日、広島市民球場で行われた中日ドラゴンズ戦において、広島東洋カープのエース外木場義郎投手(24)がプロ野球史上10人目となる完全試合を達成した。試合は1対0で広島が勝利。わずか1点を守り抜く緊迫の投球が、記念すべき快挙を呼び込んだ。
完全試合はこれまでに日本プロ野球で9人しか成し遂げておらず、その偉業に外木場が名を連ねたことは、カープの球団史にも輝かしい1ページを刻むものとなった。
さらに驚異的だったのは、この試合での16奪三振という記録。これはセントラル・リーグの1試合最多奪三振タイ記録であり、ただ打たせて取るだけでなく、打者を圧倒する剛球で支配した証しでもある。
初回から外木場の立ち上がりは冴えわたり、速球と鋭く落ちる変化球を巧みに織り交ぜながら、次々と中日打線を三振に打ち取っていった。観客の誰もがその異様な集中力に息を呑み、7回を過ぎたあたりから球場全体が「もしかすると」という期待に包まれていった。
最終回、三者凡退で試合を締めくくると、球場は割れんばかりの歓声に包まれ、ナインからの祝福に応える外木場の目には、静かな達成感がにじんでいた。
試合後のインタビューで外木場は「チームの守備にも助けられた。記録は嬉しいが、何より勝てたことが一番です」と控えめに語ったが、報道陣の間では「史上最も美しい完全試合」として語り継がれるだろうという声もあがっている。
— RekisyNews スポーツ面 【1968年】