【ニューヨーク 9月10日】
ニューヨークで開催されていた全米オープン女子シングルス決勝戦が10日、フラッシング・メドウズのセンターコートで行われ、ドイツ(西ドイツ)の19歳、シュテフィ・グラフ選手がガブリエラ・サバティーニ(アルゼンチン)を破り、今季のグランドスラム全制覇を達成した。
これにより、グラフ選手はテニス史上初となる「ゴールデン・スラム」を達成。年間で四大大会(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米)をすべて制した上、先月ソウル五輪でも金メダルを獲得しており、栄光に満ちた1988年のシーズンを完成させた。
決勝戦はストレート勝ち(6-3, 3-6, 6-1)で、試合序盤からグラフの強烈なフォアハンドとフットワークが光り、サバティーニの反撃を最終セットで完全に封じ込めた。試合終了と同時に観客席からはスタンディングオベーションが起こり、グラフは静かにラケットを掲げて応えた。
今季、グラフは全豪オープンから圧倒的な強さで勝ち進み、全仏ではわずか20ゲームしか失わない圧巻の内容。ウィンブルドンではナブラチロワを退け、五輪では決勝で再びサバティーニを破って金メダル。まさに「無敵」の一年となった。
テニス界ではこれまでにも複数のグランドスラム達成者が存在したが、1年で四大大会すべてを制覇したうえ、同年のオリンピックで金メダルをも獲得するという偉業は、男女を通じて史上初。関係者や専門家の間でも「前代未聞の快挙」「時代を変えた年」と称賛の声が相次いでいる。
グラフ選手は試合後のインタビューで「信じられない気持ち。1月からずっとこの夢を追ってきた。支えてくれた家族とチームに感謝したい」と、涙を浮かべながら語った。
このゴールデン・スラム達成により、女子テニス界の世代交代が決定的となり、グラフ時代の幕開けが世界に印象づけられた。
— RekisyNews スポーツ面 【1988年】