【パリ 9月4日】
フランス・ロンシャン競馬場で本日行われたG1ムーラン・ド・ロンシャン賞(芝1600メートル)にて、日本の武豊騎手(25)が騎乗するスキーパラダイス号(牝4、フランソワ・ブータン厩舎)が見事優勝を果たし、日本人騎手として史上初となる海外G1制覇を成し遂げた。
この日のロンシャンは朝から快晴に恵まれ、ヨーロッパ各国の強豪馬が揃う中で、スキーパラダイスは単勝7番人気の伏兵扱い。しかし、スタート直後から好位につけた武騎手は、最後の直線で内からするすると進出。ゴール前では一気の末脚を繰り出し、英・愛・仏の実力馬たちをねじ伏せる鮮やかな差し切り勝ちを決めた。
スキーパラダイスはリファール産駒の良血で、現地で調教を受けてきた実力馬。日本調教馬ではなかったものの、日本人騎手が国際舞台でG1タイトルを獲得するのは前代未聞の快挙だ。
武騎手はレース後、「馬の力を信じて冷静に乗れた。世界の舞台で結果を出せたことが何よりうれしい」と語り、スタンドからは「ユタカ!」の声援も飛んだという。
日本競馬界は今、国際化の道を模索している最中であり、今回の勝利はその流れを加速させる歴史的一歩となるだろう。若き名手・武豊の名は、今や世界に響き始めた。
— RekisyNews スポーツ面 【1994年】