マーク・スピッツ、五輪水泳界の金字塔 前人未到の七冠達成

【ミュンヘン 9月4日】

第20回夏季オリンピック・ミュンヘン大会にて、アメリカの水泳選手マーク・スピッツ(22)が、本日男子400メートルメドレーリレーで金メダルを獲得し、今大会7つ目の金メダルを手にした。これにより、スピッツ選手は一大会での金メダル最多獲得という前人未到の記録を打ち立てた。

スピッツ選手は今大会、男子100メートル自由形・200メートル自由形・100メートルバタフライ・200メートルバタフライ、そしてリレー3種目(400メートル自由形リレー、800メートル自由形リレー、400メートルメドレーリレー)に出場。すべての種目で金メダルを獲得し、しかも7種目中すべてで世界新記録を樹立するという圧巻の成績を収めた。

本日のメドレーリレー決勝では、アンカーを務めたスピッツ選手が自由形で驚異的な追い上げを見せ、アメリカチームを再び表彰台の頂点へ導いた。レース後、プールサイドに掲げられた星条旗の下、スタンドからは地鳴りのような喝采が沸き起こり、スピッツ選手は満面の笑みで手を振って応えた。

1968年のメキシコ五輪で2つの金にとどまった悔しさを糧に、この4年間で肉体と精神を研ぎ澄ませてきたというスピッツ選手。「自分の限界に挑みたかった。それが今、形になって報われた」と語ったその声には、安堵と誇りがにじんだ。

オリンピック史上に燦然と輝く七冠の偉業は、水泳競技のみならずスポーツ界全体においても語り継がれるであろう金字塔である。なお、スピッツ選手は今大会限りで競技から退く意向を示しており、その背中には歴史が宿っている。

— RekisyNews スポーツ面 【1972年】

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