【ロサンゼルス 9月2日】
競泳界に新たな歴史が刻まれた。2日、米国ロサンゼルスで行われた全米水泳選手権大会において、男子1500メートル自由形でアメリカ代表のロイ・サーリ選手(19)が16分58秒7を記録。人類史上初めて17分の壁を突破し、世界記録を大きく塗り替えた。
サーリ選手は序盤から驚異的なペースで泳ぎ出し、800メートルの通過時点で既に従来の世界記録を大きく上回るラップを刻んだ。レース後半も一切ペースを崩さず、最後の50メートルは観客総立ちの中、力強いストロークでフィニッシュ。大会会場は歓声と拍手に包まれた。
従来の世界記録は、同じく米国のマイク・オブライエン選手が保持していた17分11秒2。サーリ選手はこれを12秒以上更新する圧倒的な泳ぎを見せた。レース後、サーリ選手は「この日のために全てをかけてきた。ゴールした瞬間、時計を見て自分の目を疑った」と興奮気味に語った。
米国水泳連盟の関係者は、「この記録は競泳界における革命だ。1500メートルという過酷な距離で17分を切るとは誰も予想していなかった」と称賛。会場に詰めかけた観客の間からも「歴史的瞬間を目撃した」と感嘆の声が相次いだ。
一方で、この結果は来月開幕する東京オリンピックにも大きな影響を与えそうだ。日本水泳陣にとっても男子長距離種目は強化の重点分野だが、サーリ選手の圧倒的な実力を前に戦略の見直しを迫られる可能性がある。各国代表チームは、この“16分台ショック”への対応を急いでいる。
人類未踏の記録を打ち立てたサーリ選手は、一躍「水の怪物」と称され、世界中の注目を集めている。東京で再び世界を驚かせるのか、今後の活躍に大きな期待が寄せられる。
— RekisyNews スポーツ面 【1964年】