プロ野球ナイター、テレビで初中継 後楽園の熱戦をお茶の間へ

【東京・後楽園 8月29日発】

日本テレビ放送網(NTV)は本日、プロ野球後楽園球場で行われた巨人対阪神戦のナイトゲームを国内で初めてテレビ中継した。昨日の日本テレビ開局に続く快挙で、スポーツ中継の新時代を告げる歴史的一日となった。

午後6時半、後楽園球場に設置された複数台のカメラが一斉に回り始め、電波は首都圏各地へ送られた。受像機を所有する家庭はまだ3,000台ほどにとどまるが、銀座や新橋の電器店前には黒山の人だかりができ、白黒画面に映る選手たちの動きに歓声が上がった。中継の音声は球場の歓声と解説が同時に流れ、あたかも現場にいるような臨場感に人々は息をのんだ。

この日の試合は、巨人のエース・別所毅彦投手と阪神の小山正明投手の投げ合いで幕を開けた。巨人が初回に先制点を挙げると、店頭のテレビを囲む観衆から大きな拍手とどよめきが起こった。球場内ではライトに照らされたフィールドが鮮やかに浮かび上がり、観客席では「映っているかもしれない」とカメラを意識して手を振る子供たちの姿もあった。

中継の成功を受け、NTV編成局は「スポーツ中継はテレビの大きな可能性を示した。今後はプロ野球をはじめ各種スポーツの生中継を拡大したい」とコメント。視聴者からも「ラジオとは迫力が違う」「遠くの球場に行かなくても楽しめる」と驚きの声が寄せられている。

終戦からわずか8年。復興の途上にある日本に、電波に乗って届いた白球の行方は、人々に新しい時代の到来を実感させた。

後楽園のナイターを照らした光は、そのまま日本の未来をも照らし出している。

— RekisyNews 社会・スポーツ面 【1953年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次