加茂・宮城組、全米テニス選手権で日本人初の栄冠 戦後日本に快挙の朗報

【ニューヨーク 8月28日発】

米ニューヨーク近郊フォレストヒルズで開催中の全米テニス選手権男子ダブルス決勝で本日、加茂公成(22)、宮城淳(24)の日本ペアがアメリカの強豪トニー・トラバート、ヴィック・セイシャス組をセットカウント3対1で破り、日本人として史上初の優勝を果たした。戦後の日本スポーツ界における快挙に、現地会場は驚きと称賛の声に包まれた。

試合は序盤から激しいラリー戦となり、身長で劣る日本ペアは俊敏なネットプレーと正確なリターンで応戦。第1セットを6-4で先取したが、第2セットは相手の強烈なサービスに押され4-6で奪われた。しかし第3セットからは宮城の鋭いボレーと加茂の冷静なコース取りが冴え、6-3、6-4と連取。2時間を超える熱戦の末、歴史的勝利をつかんだ。

会場では日本から駆けつけた関係者や在米日本人が小旗を振って声援を送り、勝利の瞬間には涙ぐむ観客も見られた。表彰式で加茂は「信じられない気持ちです。日本の皆さんに朗報を届けられてうれしい」と語り、宮城も「二人でつかんだ勝利。祖国の皆さんに感謝します」と笑顔を見せた。

日本国内ではNHKの速報が流れると、街角のラジオの前に人々が集まり、喜びの声を上げる姿が見られた。日本テニス協会は「戦後日本スポーツの希望の象徴」として称賛コメントを発表。関係者は「この快挙が次世代の選手育成にも大きな弾みとなるだろう」と期待を寄せる。

敗れたアメリカ勢の一人は「今日の彼らは完璧だった。称賛以外に言葉がない」と語り、観客からも惜しみない拍手が送られた。

荒廃から立ち上がる日本に、世界の舞台で届いた一つの朗報。

コートを駆け抜けた二人の快挙は、スポーツ史に新たなページを刻んだ。

— RekisyNews スポーツ面 【1955年】

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