ピート・ローズ、野球賭博でMLBから永久追放 シーズン中に異例の決定

 【ニューヨーク 8月24日】

本日、米大リーグ機構(MLB)は、シンシナティ・レッズ監督のピート・ローズ氏を「永久失格選手(パーマネント・インエリジブル)」とする処分を発表した。バーグ総裁は会見で、野球賭博疑惑に関する調査結果を踏まえた措置だと説明。ローズ氏は処分に同意する一方で、嫌疑を認めも否定もしない「ノーコンテスト」の立場を表明し、監督職を辞任した。

疑惑は、私設調査チームの報告書が、電話記録や証言を基にローズ氏が1980年代後半に野球賭博へ関与し、レッズ戦に賭けた可能性を指摘したことに端を発する。弁護側は一貫して反論してきたが、審問を経ず合意で決着する道が選ばれた。処分は球界の全職務に及び、クラブ運営や指導者としての復帰は不可。もっとも、規定により本人は1年後に復権申請が可能とされる。

球界関係者からは「競技の公正を守るための断固たる判断」と支持の声が上がる一方、球史屈指の安打製造機が事実上ダグアウトから退く結末に、ファンの受け止めは複雑だ。レッズは暫定体制でシーズンを続行する方針で、クラブハウスには動揺と沈黙が広がった。

通算4,256安打の大記録で知られる“チャーリー・ハッスル”の歩みは、今日を境に大きく陰影を帯びる。球界の信認とスター個人の栄誉—二つの価値が正面衝突した末に下った断。名声と規律の狭間で、プロ野球は自らの規範を改めて示した。今後は復権申請の行方と、球史における評価の位置づけが新たな論点となる。

— RekisyNews スポーツ・社会面 【1989年】

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