中日球場で火災 内野スタンド全焼、死者3人の惨事

 【名古屋 8月19日】

本日午後、名古屋市中区の中日球場で開催されていたプロ野球試合中に火災が発生し、内野スタンドが全焼した。観客で埋め尽くされた場内は一時騒然となり、避難の混乱の中で少なくとも3人が死亡、数十人が負傷した。娯楽の殿堂を襲った惨事に、市民は大きな衝撃を受けている。

出火は試合の最中、ネット裏上部から突然煙が立ち上るのを観客が目撃したのが始まりとされる。瞬く間に炎は木造の観客席へ燃え広がり、熱風と黒煙が場内を覆った。観客は出口に殺到し、悲鳴と怒号が交錯。選手や審判団も試合を中断して避難誘導にあたったが、火の勢いは止まらず、内野席一帯は短時間で焼失した。

消防隊は直ちに出動し、延焼防止に努めた結果、外野席や周辺住宅への被害は免れたものの、鎮火までには数時間を要した。瓦礫と化したスタンドからは遺体が収容され、病院へ搬送された観客も多く、名古屋市当局は犠牲者の身元確認と原因究明を急いでいる。

関係者によれば、電気設備の不具合や売店周辺からの出火が疑われており、詳しい調査が進められている。球団関係者は「尊い命が奪われたことに深い哀悼の意を表する」と声明を発表。今後の試合開催については安全確認が済むまで見合わせる方針を示した。

観客の一人は「楽しい試合が一瞬で地獄のようになった」と震えながら語った。市民の間では「娯楽の場の安全が脅かされた」との不安が広がり、再発防止策を求める声が高まっている。

戦後復興の象徴のひとつであった中日球場を襲った今回の火災は、スポーツ文化と安全対策のあり方を問い直す大きな転機となりそうだ。

— RekisyNews 社会・災害面 【1951年】

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