大阪放送局、野球大会を全国生中継 我が国初のスポーツ実況

 【大阪 8月13日】

大阪放送局は本日、甲子園球場で行われた全国中等学校優勝野球大会の試合を、全国向けに生中継した。試合開始から終了までを実況で伝える形式は国内初の試みであり、スポーツ放送の新たな時代を告げる一日となった。

中継されたのは準決勝第1試合。朝9時、球場に設けられた放送席からアナウンサーが第一声を発すると、ラジオの前に集まった聴取者は一斉に耳を傾けた。実況は打者や投手の動き、守備の位置取り、観客席の熱気まで詳細に描写し、あたかも現場にいるような臨場感が電波に乗って全国へ届けられた。

今回の中継にあたり、局は特別に球場内外へマイクと送信線を敷設。実況席から送られた音声は局舎を経由して全国の中継網へ送り出され、北海道から九州まで一斉に放送された。通信担当者は「試合の熱気と歓声をそのまま届けるのは難しかったが、ほぼ計画通り成功した」と語る。

放送を聴いた市民からは「目を閉じれば球場の光景が浮かぶ」「野球をこんなに詳しく聴いたのは初めてだ」との感想が寄せられた。一方で、「観戦の臨場感はやはり現地に勝てない」との声もあり、今後の技術改良が課題とされる。

大阪放送局では今後も野球に限らず、相撲や陸上競技など各種スポーツの生中継を検討中だ。関係者は「この方式が定着すれば、競技場に足を運べない人々にも試合の興奮を届けられる」と自信を示している。

— RekisyNews 社会面 【1927年】

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