東洋一のスタジアム「甲子園」起工 ── 枝川の跡地に巨大運動場、建設開始

【兵庫 3月11日】

本日、兵庫県武庫郡の旧枝川跡地において、阪神電気鉄道が社運を賭けて建設する「甲子園大運動場」の起工式が盛大に執り行われた。大正13年、すなわち「甲子(きのえね)」という極めて吉祥な年に産声を上げるこの施設は、完成すれば収容人数5万人を超える、東洋最大級の近代式スタジアムとなる。

設計は、ニューヨークのジャイアンツ球場などをモデルとしており、わが国初となる本格的な鉄筋コンクリート造の観客席を備える予定だ。特に、銀傘(ぎんさん)と呼ばれる大屋根が内野席を覆う構造は、観戦環境を劇的に向上させる画期的な試みとして注目を集めている。

建設の主な目的は、年々過熱する全国中等学校優勝野球大会の観客を収容することにある。現在の鳴尾球場では収容能力が限界に達しており、新たな「野球の聖地」の誕生が待ち望まれていた。

広大なグラウンドには、やがて選りすぐりの黒土が敷き詰められ、外壁には緑の蔦が這う優美な景観が計画されている。この巨大な揺籃(ようらん)は、中等学校野球のみならず、将来的に誕生するであろう職業野球の団体にとっても、最高の舞台となることは疑いようがない。

— RekisyNews スポーツ面 【1924年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次