【東京 3月6日】
本日、東京・大田区体育館において、アントニオ猪木(29)率いる新日本プロレスの旗揚げ戦「オープニング・シリーズ」が華々しく幕を開けた。日本プロレスを追放され、背水の陣で新団体を設立した猪木が、自ら提唱する「ストロングスタイル」を具現化すべく、未知なる戦いの一歩を踏み出した。
注目のメインイベントでは、猪木がかつての師である「鉄人」ルー・テーズの愛弟子、カール・ゴッチと対戦。ゴッチは卓越したレスリング技術で猪木を追い詰め、最後は鮮やかなリバース・スープレックスで猪木からピンフォール勝ちを収めた。敗れはしたものの、技の応酬が続く緊張感溢れる試合展開に、超満員の観客からは惜しみない拍手と喝采が送られた。
現在、日本のプロレス界は、ジャイアント馬場氏が属する日本プロレスが主流であり、新日本プロレスはテレビ中継がつかないという極めて厳しい状況下でのスタートを余儀なくされている。しかし、猪木は試合後のインタビューで「真のプロレス、真の格闘技を見せる」と力強く宣言。力道山亡き後のマット界において、独自の道を切り拓く強い決意を滲ませた。
若手選手の山本小鉄や魁勝司、新人の藤波辰巳らも参戦し、活気に満ちた興行となった本日の旗揚げ戦。テレビ局の支援を欠いた「孤独な闘い」が、いかにして国民の熱狂を勝ち取っていくのか。猪木が掲げる「闘魂」の旗印の下、プロレス界の勢力図を塗り替える新たな伝説が今、動き始めた。
— RekisyNews スポーツ面 【1972年】
