【マイアミビーチ 2月25日】
ボクシング界の「絶対王者」が、一人の若き饒舌な挑戦者の前に膝を屈した。本日、マイアミビーチ・コンベンションホールで行われた世界ヘビー級タイトルマッチにおいて、挑戦者カシアス・クレイ(22)が、王者ソニー・リストンを7回TKOで撃破。圧倒的不利と目された予想を覆し、史上最年少での王座奪取を成し遂げた。勝利の瞬間、クレイはリング上で「俺が最強だ!世界を震撼させてやったぜ!」と絶叫し、新たな時代の到来を宣言した。
今回の番狂わせの背景には、クレイが提唱した「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という、従来のヘビー級の常識を覆す超高速のフットワークとジャブがある。無敵を誇ったリストンに対し、クレイは持ち前のスピードで決定打を許さず、逆に鋭い連打で王者の顔面を切り裂いた。第6ラウンド終了後、戦意を喪失し肩の負傷を訴えたリストンが椅子に座ったまま立ち上がれなくなったことで、試合は決した。これは、パワー至上主義だったボクシング界に、知性とスピードという新たな規範を盤石なものとして刻み込んだ歴史的一戦である。
現場となった会場内は、クレイの勝利が確定した瞬間、信じ難いものを見たという驚愕と大歓声に包まれた。試合前まで「ホラ吹き」と揶揄されていたクレイだが、リングで見せた実力は本物であった。あるスポーツ記者は「彼は口先だけの男ではなかった。今日、我々はボクシングの歴史が塗り替えられる瞬間を目撃した」と興奮を隠せない様子で語った。一方で、クレイが近年傾倒している「ネイション・オブ・イスラム」との関わりが、保守的なスポーツ界にいかなる波紋を広げるのか、その動向にも注目が集まっている。
このクレイの戴冠が、後のモハメド・アリへの改名を経て、スポーツ選手が政治的・社会的メッセージを発信する先駆けとなり、黒人の権利向上運動を盤石なものにしていくのではないかとの見方もある。マイアミの夜空に響いた彼の勝ち名乗りが、世界にいかなる勇気と変革をもたらすのか、その行方が鋭く注目される。
— RekisyNews 体報 【1964年】
