「氷上の奇跡」と「五冠王」の記憶 ── レークプラシッド五輪、熱狂の閉幕

【レークプラシッド 2月24日】

米ニューヨーク州のアディロンダック山脈に抱かれた小さな村、レークプラシッド。12日間にわたり世界の視線を集めた第13回冬季オリンピック大会は本日、興奮と感動の余韻を色濃く残して閉幕した。冷戦下の緊迫した情勢を背景に、スポーツが持つ純粋な力が世界を震撼させた今大会。地元アメリカ勢の躍進や、アルペンスキーの逆転劇など、「氷と雪の神話」がいくつも誕生し、冬のスポーツ史に消えることのない足跡を刻んだ。

今大会を象徴するのは、何といっても「二つの奇跡」である。一つは、大学生主体の米ホッケー代表が、無敵を誇ったソ連を撃破して金メダルに輝いた「氷上の奇跡(Miracle on Ice)」。そしてもう一つは、スピードスケートのエリック・ハイデン選手(米)が史上初の5種目完全制覇(五冠)を成し遂げた偉業である。ハイデン選手が全種目で五輪記録を塗り替え、山間の村を沸かせたその圧倒的な実力は、まさに大会の白眉であった。また、わが国日本は、スキー・ジャンプ70m級で八木弘和選手が銀メダルを獲得。厳しい戦いの中で日本中を熱狂させ、誇りある結果を残した。

現場となった閉会式の会場は、氷点下の冷気が漂う中、激闘を終えた選手たちの晴れやかな笑顔と、別れを惜しむ観衆の熱気に包まれた。五輪旗が次の開催地サラエボへと引き継がれ、聖火が静かに消えゆく瞬間、会場にはアメリカの人気アーティスト、チャック・マンジョーネ氏によるテーマ曲『Give It All You Got』が響き渡った。ある参加国の選手は「ここは小さな村だが、ここで感じた情熱は世界一大きかった」と、瞳を潤ませながら友情を誓い合った。夜空に打ち上がった花火が、白い山々を鮮やかに照らし出している。

このレークプラシッド大会の成功が、商業化や警備体制の強化など、後の巨大化する近代オリンピック運営における重要な試金石となるのではないかとの見方もある。また、ハイデン選手のような「超人的ヒーロー」の出現が、ウィンタースポーツの人気を世界的な高みへと押し上げるのか。氷の村で生まれた数々の物語が、分断された世界にいかなる「平和の光」を灯し続けるのか、その遺産の価値が鋭く注目される。

— RekisyNews 戦報 【1980年】

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