蔵前国技館で国際プロレス、力道山・木村組がシャープ兄弟と激突 ── 街頭テレビに人波、熱狂広がる

【東京 2月19日】

東京・蔵前国技館で本日、力道山と柔道王木村政彦が組み、来日したシャープ兄弟を迎えて国際タッグ戦が行われた。海外勢を相手に本格的な興行が組まれるのは国内では例を見ず、会場は早くから満員。場内は太鼓と拍手が渦を巻き、開始のゴングとともに立ち上がる観客も多かった。

試合は3本勝負の形で進み、力道山の空手チョップが炸裂すると、土俵下の記者席からもどよめきが上がった。シャープ兄弟は体格と巧みな連係で押し返し、木村も関節技で応戦。互いに一歩も引かず、長い攻防が続いたという。

興行は日本テレビとNHKが同時に中継し、家庭の受像機だけでなく新橋駅前の街頭テレビにも群集が集まったと伝えられる。異国の強豪に挑む姿が映るたび、画面の前では歓声とため息が交互に漏れ、終電間際まで人波が引かなかった。戦後の復興途上で、束の間でも胸を熱くする娯楽を求める空気が、都心の寒夜に立ちこめた。

また、柔道の名声を背負う木村がリングに上がったことも話題となり、武道家が異国流の格闘に身を投じる是非を語る声が控室に飛び交った。客席には家族連れも目立ち、売店では弁当と温い茶が早々に売り切れたという。

主催側は今後も海外選手を招く構えで、プロレスが新たな大衆娯楽として根を張るか注目される。勝敗以上に、きょうの熱気が次の興行を呼び込むだろう。都の夜は、しばし拳の夢に揺れた。

— RekisyNews スポーツ面 【1954年】

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