【東京 1月15日】
大相撲一月場所で、本日行われた取組において、前人未到の69連勝を続けていた横綱・双葉山が、関脇・安藝ノ海に敗れるという大波乱が起きた。土俵上の一瞬に、長く続いた不敗神話がついに幕を下ろした。
立合いから激しい攻防となった一番は、双葉山が得意とする形に持ち込めぬまま展開。安藝ノ海は冷静に体勢を崩さず、巧みな差しと粘りで横綱の攻めを封じ、最後は寄り切って白星を挙げた。館内は一瞬静まり返った後、大きなどよめきと拍手に包まれた。
双葉山の連勝記録は、昭和十一年以来積み重ねられたもので、相撲史に燦然と輝く金字塔であった。土俵に立つ姿そのものが「無敵」を象徴していただけに、この敗戦は力士本人のみならず、相撲界全体に大きな衝撃を与えている。
一方、安藝ノ海にとっては、生涯語り継がれるであろう殊勲の星となった。取組後、安藝ノ海は「無心でぶつかっただけ」と語り、謙虚な姿勢を崩さなかった。
双葉山は取組後、深く一礼して土俵を後にした。その姿には敗者の潔さがにじみ、観衆からは改めて横綱への敬意が送られた。連勝は止まったが、その偉業が色あせることはない。相撲史に刻まれた一日は、長く語り継がれることになりそうだ。
— RekisyNews スポーツ面 【1939年】
