【東京 12月27日】
大蔵当局は本日、政府通用の新紙幣「明治通宝」を発行すると布告した。額面は百円・五十円・十円・五円に加え、二円、一円、半円、二十銭、十銭の計九種類。諸藩の札がなお市中に残り、地域ごとに受け取りを断られる例もある中、全国一律の札で商取引と租税収納を行えるようにするのが眼目だ。
役所筋によれば、新札は用紙・印刷を厳重にし、模様や文字の刷りも細かくして偽造を防ぐ工夫を凝らしたという。江戸以来の両替商は、年の瀬の勘定で小額の釣銭が不足しがちなため「半円や銭札が出れば助かる」と語る。一方で商家からは「旧札の引換が滞れば、遠国との掛け取引が止まる」との懸念も聞かれた。
当局は、旧札をただちに無効とせず、交換・回収を段階的に進める方針で、各地の出張所や金融筋に取扱いの準備を急がせている。新政府の財政建て直しが唱えられる折、紙幣の統一が市場の混乱を鎮め、物価と流通を安定へ導けるか注目される。
布告を受け、東京の問屋場では早くも各地の荷受けに備え、帳簿の建て替えや値段表の付け替えに追われた。地方の村方では年貢米の売買や賃金の支払いが現金に移るにつれ、札の真贋を見分ける術が乏しいとの声もあり、役場や警察に説明を求める者が相次いでいる。紙幣の往来が盛んな港町では、洋銀の相場と新札の受渡しがどう折り合うかも関心事だ。
政府は近代的な貨幣制度の整備を進めており、今回の明治通宝はその柱として位置づけられる。新札が円滑に行き渡れば、遠隔地同士の決済も早まり、商いの回転が増すと見る向きは多い。
— RekisyNews 経済面 【1871年】
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