吉田松陰、私塾「松下村塾」を開講――志士育成の場が誕生

吉田松陰

【長門国萩 12月20日】

長州藩士の吉田松陰が、自宅にて私塾「松下村塾」を開講した。同塾は、身分や家柄にとらわれず学問と議論を重んじる場として設けられ、藩内外の若者に門戸を開く形となっている。

松陰はこれまで、海外渡航の試みや獄中での思索を通じ、国家の在り方や人材育成の重要性を強く訴えてきた人物である。今回の開講にあたり、儒学を基礎としつつも、時勢に即した実学や政治論を重視し、「学は行動に結びつくべきもの」との姿勢を明確にしている。

松下村塾では、師から一方的に教えを受けるのではなく、塾生同士の討論や自主的な学習が奨励されている。松陰自身も講義の中で、天下国家を論じる視点を養うことを重視し、時代の変革に対応できる人材の育成を目指す考えを示した。

小規模な私塾ながら、その教育方針は従来の藩校とは一線を画しており、将来の日本を担う人材を輩出する場となる可能性が注目されている。松下村塾の歩みは、今後の長州、ひいては国の行く末にも影響を及ぼすものとして関心を集めている。

— RekisyNews 教育面 【1857年】

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