【伊勢 12月19日】
本日、現在の松阪市周辺にあたる伊勢地方において、地租減免を求めて集まった農民と警察当局との緊張が高まり、暴動へと発展する事態が起きた。近代的な税制への移行に伴う負担増に不満を募らせていた農民らが、巡査の言動をきっかけに激昂し、集団行動に踏み切ったとされる。
関係者によれば、農民側は収穫不振や生活難を背景に、地租の軽減や納付猶予を求めていた。現場では巡査が解散を促す過程で挑発的と受け取られる言動があり、群衆心理が一気に高まって衝突へと転じたという。周辺では器物の破損や通行の混乱が生じ、事態は急速に拡大した。
当局は鎮静化を図るため増援を派遣し、関係者の拘束や事情聴取を進めている。今回の騒乱は、地租改正後の各地で見られる不満の噴出を象徴する出来事として受け止められており、農村社会における負担と統治の在り方が改めて問われている。
地元では不安が広がる一方、農民側からは切実な生活実態を訴える声も強い。今回の出来事が今後の行政対応や税制運用にどのような影響を及ぼすのか、注視されている。
— RekisyNews 社会面 【1876年】
