【アメリカ・ノースカロライナ州キティホーク 12月17日】
本日、アメリカの発明家兄弟 ウィルバー・ライト、オーヴィル・ライト は、動力を備えた飛行機による 人類初の有人飛行 に成功した。砂丘地帯で行われた試験飛行はわずか数十秒ながら、重い機体が自力で地上を離れ、操縦者の意志によって空中を進むという、かつてない成果を示した。
使用された飛行機は、木材と布で組まれた複葉機で、独自設計のガソリンエンジンとプロペラを搭載している。午前中に行われた最初の飛行では、オーヴィルが操縦席に乗り込み、約12秒間、約36メートルを飛行した。その後も数回の試行が続けられ、最長では50秒以上の飛行が確認された。
現場に立ち会った救難隊員は「機械が地面を離れ、まるで生き物のように前へ進んだ」と驚きを隠さなかった。兄弟はこれまで滑空機の研究を重ね、操縦性の確立に力を注いできた。今回の成功は、単なる跳躍ではなく、操縦可能な飛行を実証した点で画期的と評価されている。
ライト兄弟は「空を飛ぶことは夢ではなく、技術の問題である」と語り、今後さらなる改良を進める意向を示した。軍事・郵便・交通など、多方面への応用が期待され、人類の移動と戦争、産業の姿を一変させる可能性を秘めている。
— RekisyNews 科学面 【1903年】
