柴犬、国の天然記念物に指定──日本固有の犬種として保存へ

【東京 12月16日】

文部省は本日、日本固有の犬種である柴犬を天然記念物に指定したと発表した。中型犬の中でも最も古い系統のひとつとされ、各地の農村で長く人々と暮らしてきた柴犬の保護が、国家として正式に位置づけられることとなった。

指定の背景には、近年の生活様式の変化に伴い、在来犬の頭数減少が進んでいた事情がある。特に洋犬の流入が増える中、柴犬の純粋な血統を保持することへの危機感が学術界から強く提起されていた。調査にあたった動物学者は「柴犬は日本の風土に最も適応した犬であり、古来の特徴をよく残している」とその価値を強調する。

柴犬は俊敏で警戒心が強く、家庭犬としてだけでなく、山間部では狩猟の良き伴侶として重宝されてきた。今回の指定により、各地の保存会と連携した繁殖・調査がさらに進む見込みで、文化財としての保護体制が整えられることが期待されている。

市井では喜びの声も多い。浅草の飼い主は「昔から一緒に暮らしてきた日本の犬が、ようやく国に認められた気がする」と話し、街頭でも柴犬を連れた人々が誇らしげに語る姿が見られた。今後は学術的研究だけでなく、地域ぐるみの保存活動にも注目が集まる。

— RekisyNews 文化面 【1936年】

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