富士山で大噴火──宝永噴火、山腹に新たな火口「宝永山」出現

【駿河国・富士山麓 12月16日】

本日午前、富士山が突如として激しい噴火を起こし、山腹に巨大な新火口が開いた。 周辺村々では降灰が昼夜の区別を失わせるほど降り続き、東国一帯に不安が広がっている。火口は南東斜面に形成され、早くも「宝永山」と呼ばれ始めている。

噴火は朝方から断続的に地鳴りが続いたのち、山腹が裂けるような轟音とともに始まった。目撃した村人によれば、黒煙と火山灰が空高く巻き上がり、石礫が雨のように降り注いだという。駿河・相模の広い地域では強い風に乗って灰が飛散し、農地や屋根がいちめんの白灰に覆われた。行き交う旅人の姿も途絶え、往来はほぼ全面停止している。

江戸でも昼過ぎから灰が降り始め、人々は「富士が崩れるのでは」と恐れを語り合った。商家の主人は「明るいはずの昼間が薄闇のようで、外を歩くこともままならぬ」と話し、市中の井戸には灰が混じり水質悪化が懸念されている。幕府は早急に被害状況の取りまとめを命じ、周辺代官所には避難所設置の準備が指示された。

専門家筋によれば、今回の噴火は山頂ではなく山腹からの噴出で、地形に大きな変化をもたらす可能性が高いという。新たに出現した火口は急速に規模を拡大しており、富士山の姿を大きく変える恐れがある。

噴火は現在も続いており、住民には引き続き警戒が呼びかけられている。東国随一の名山が見せた突然の激変は、人々に自然の猛威を改めて示す結果となった。

— RekisyNews 災害面 【1707年】

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