【パリ 12月15日】
セントヘレナ島に没してから19年、フランス皇帝として欧州に大きな影響を与えた ナポレオン・ボナパルトの遺骸が本日ついにパリへ帰還 し、アンヴァリッドにおける荘厳な式典のもと安置された。市内には早朝から多数の市民が集まり、馬車が進む沿道には黒い喪章と皇帝時代の軍旗が掲げられ、深い敬意と熱気が入り交じった空気に包まれた。
遺骸はフランス政府の要請によりセントヘレナから軍艦「ベル・プール号」で移送され、到着後は儀仗兵に守られながらコンコルド広場、シャンゼリゼ通りを通ってアンヴァリッドへと運ばれた。棺が進むたび、群衆からは「皇帝万歳」の声が上がり、涙を見せる市民の姿もあった。
今回の返還は、現政権が国民統合と国家の威信を示す意図を持って進めたとみられ、政治的な側面も強い。とはいえ、退位と流刑を経てもなお英雄視され続けるナポレオンの存在感は圧倒的で、その帰還はフランス史上でも特筆すべき儀礼といえる。
アンヴァリッドでは軍・政府要人が参列し、司祭による祈祷ののち、棺は壮麗なドームの下に安置された。式典に立ち会った市民は「ようやく皇帝が祖国へ帰ってきた」と語り、長らく続いた分断を癒す象徴的な出来事として受け止める向きもある。
ナポレオンの魂はどのように語り継がれていくのか。帰還の知らせは、再びフランス国民に歴史の重みを呼び覚ましている。
— RekisyNews 歴史面 【1840年】
