米国、能動型通信衛星「リレー1号」の打ち上げに成功──宇宙通信の新時代へ大きな一歩

リレー衛星

【フロリダ州ケープカナベラル 12月13日】

米国航空宇宙局(NASA)は本日、世界初級となる 能動型通信衛星「リレー1号(Relay 1)」 の打ち上げに成功した。宇宙からの中継機能を自ら備えた衛星としては米国初であり、国際通信の在り方を大きく変える可能性を秘めた科学技術の一里塚となる。

ロケットは午前中にケープカナベラル空軍基地から発射され、ペイロードであるリレー1号は順調に地球周回軌道へ投入された。NASA関係者は「衛星システムは正常に稼働している」と述べ、発電・姿勢制御・通信系統の初期チェックが良好であることを明らかにした。

今回打ち上げられたリレー1号は、既存の受動型衛星と異なり、衛星自身が電波を増幅し再送する能動型通信衛星 であるのが大きな特徴だ。これにより、地球上の遠隔地点同士が、より安定した通信を確立できるようになると期待されている。NASA技術者は、「地球規模でのテレビ中継や国際電話の品質向上に寄与する」と語り、実用化の展望を示した。

衛星には太陽電池パネルとバッテリーが搭載され、長期間の運用が想定されている。また今回の任務では、米国とヨーロッパ間でのテレビ映像中継試験など、地球規模の通信技術を検証する計画も進められており、各国の通信関係機関が強い関心を寄せている。

一方、冷戦下での宇宙開発競争が続くなか、今回の成功は米国の技術力を国際社会に示す成果でもあり、ソ連が進める通信衛星計画に対する牽制の意味合いも指摘されている。ワシントンの政府高官は、今回の打ち上げについて「平和利用を目的とした国際的な通信網の確立に資するものだ」と強調した。

宇宙を経由した通信が、日常の一部となる未来が現実味を帯びてきた。リレー1号の成功は、人類が“宇宙と地上を結ぶ時代”へ踏み出した象徴的な出来事となるだろう。

— RekisyNews 科学面 【1962年】

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