ドレーク、世界周航の大海へ──プリマス港からエリザベス朝最大の冒険航海が始動

【イングランド・プリマス 12月13日】

本日早朝、イングランドの軍人 フランシス・ドレーク が、小艦隊を率いてプリマス港を出帆した。目的は秘匿とされているが、宮廷筋では「スペイン帝国の勢力圏を探る遠征」であるとの見方が強く、実質的に 世界周航を目指す壮大な航海 となる可能性が高い。

今回の遠征には、旗艦ペリカン号(後のゴールデン・ハインド号)を中心に、数隻の帆船が参加。乗組員はおよそ160名とされ、積み込まれた食糧・武具・航海器具の量から、長期航海を前提とした準備であることがうかがえる。出港時、沿岸には見送りの市民が集まり、甲板で士気を高める船員の歌声が港に響いた。

ドレークは、かつてスペイン艦隊と戦った経験をもち、北大西洋からカリブ海にかけて活動した私掠船指揮官として知られる人物で、女王エリザベス1世からの信任も厚い。関係者によれば、彼は出港直前に「我らは未知の海へ向かうが、帰還すればイングランドの地位を高める成果を持ち帰る」と語り、乗組員を鼓舞したという。

背景には、大航海時代を迎えるヨーロッパで、ポルトガル・スペイン両国が世界の海域を独占しつつある現状がある。イングランドはその枠組みへ割って入る機会を模索しており、今回の航海はその第一歩とみられる。宮廷の一部では、航路開拓に加えて「新大陸沿岸でのスペイン船襲撃」を期待する声もあるが、公式には沈黙が守られている。

もっとも、航海は危険を伴う。大西洋の嵐、未知の海域、補給地の確保など課題は多く、船員の中には緊張の面持ちも見られた。それでも、若い水夫は本紙に「この航海は我々の人生を変えるだろう」と語るなど、冒険に胸を躍らせる雰囲気も漂っている。

イングランドの命運を背負った遠征が、今ここに静かに幕を開けた。ドレークの艦隊がどのような航路を進み、どのような成果を持ち帰るのか、国内外から大きな注目が集まっている。

— RekisyNews 国際面 【1577年】

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