【ニューヨーク 12月11日】
本日、アメリカ連邦捜査局(FBI)は、ニューヨーク5大マフィアの一角を成す ガンビーノ一家 のボス、ジョン・ゴッティ を逮捕した。法執行機関が長年追い続けてきた「ニューヨーク犯罪界の頂点」の拘束は、マフィア史における重大な節目となる。
ゴッティはその派手な装いと強気の振る舞いから “ダッパー・ドン(着飾ったドン)” の異名を持ち、これまで陪審員買収や証人脅迫が疑われた裁判でたびたび無罪を勝ち取ったため、“タフ・ガイ” として民衆の間でも異様な人気を集めていた。しかし本日の逮捕は、彼が長く避け続けてきた法の網がついに閉じられた瞬間となった。
今回の逮捕は、FBIが数か月間にわたり極秘に進めてきた盗聴作戦の成果だ。関係者によれば、「ゴッティが自ら犯行を指示するような会話の録音が複数確保された」とされ、これまで“鉄壁”といわれた証拠不足の状況が一変した。
逮捕はブルックリンの社会クラブ近くで行われ、重武装した連邦捜査官が周辺を制圧。ゴッティは抵抗することなく身柄を拘束され、側近のサルバトーレ・“サミー・ザ・ブル”・グラヴァーノら複数名も同時に連行された。近隣住民は、「彼が捕まる日が来るとは思わなかった」と驚きを隠せない。
検察当局は、殺人教唆、恐喝、犯罪組織運営など重罪を含む複数の容疑で起訴する構えを示しており、今回こそゴッティが長期刑に至る可能性が高いとみられている。
ニューヨーク市警関係者は、「彼の逮捕は、組織犯罪への取り締まりが新たな段階に入ったことを示す」と語り、司法当局は今後の裁判でマフィア内部の構造解明も進むと期待を寄せた。
ジョン・ゴッティ逮捕の報は、巨大マフィア組織の時代が終わりへ向かう象徴的な出来事として、市民と犯罪捜査の世界に大きな衝撃を与えている。
— RekisyNews 社会面 【1990年】
