【ニュルンベルク 12月9日】
本日、バイエルン州ニュルンベルクで、いわゆる 「ニュルンベルク継続裁判」 が正式に開始された。これは昨年から行われた主要戦犯24名を対象とした国際軍事裁判に続き、ナチス政権下で実務にあたった閣僚・官僚・軍将校・産業界関係者ら中堅層を対象とする新たな審理である。
今回の裁判は、国際軍事裁判所ではなく アメリカ軍軍事法廷 によって実施され、計12件の個別裁判が予定されている。初日の本日は、医師らを被告とする「医師裁判」の冒頭手続きが行われ、法廷は早朝から大勢の記者と傍聴者で埋め尽くされた。
検察側は冒頭陳述で、強制収容所で行われた人体実験や非人道的医療行為を厳しく指弾し、「これらの行為は医学の名を借りた犯罪であり、人類に対する重大な冒涜である」と述べ、厳罰を求める姿勢を明確にした。
傍聴席には戦争被害者の遺族や連合国関係者の姿もあり、特に医師裁判に対する関心は非常に高い。傍聴した女性の一人は「これまで声を上げられなかった犠牲者のための裁きであってほしい」と語った。
継続裁判では、医師のほか、司法官僚、経済界の重役、軍指揮官など多岐にわたる被告が審理対象となる。アメリカ当局は「ナチス体制の犯罪を組織的に支えた人々を法の下に裁くことが必要」としており、裁判は1947年以降も続く見込みだ。
一方、ドイツ国内ではこれ以上の裁きに慎重な意見も出始めている。戦後の混乱の中で社会復興が急がれる状況にあり、大学教授の一人は「過去の清算は必要だが、国全体が再建へ向けて動き出す時期でもある」と述べた。
継続裁判の開廷は、国際社会がナチス体制下の犯罪をより網羅的に追及しようとする第二段階の始まりであり、今後の戦争犯罪の概念や国際法の形成にも大きな影響を与えるとみられる。
— RekisyNews 国際面 【1946年】
