【フロリダ州フォートローダーデール 12月5日】
本日午後、フロリダ州フォートローダーデール海軍航空基地を飛び立った アメリカ海軍アヴェンジャー雷撃機5機 が、訓練飛行中に消息を絶った。捜索は夜を徹して続けられているが、いまだ機体の残骸も乗員の手がかりも見つかっておらず、軍関係者と家族の間に緊張が走っている。
5機は「フライト19」と呼ばれる訓練編隊で、午後2時頃に離陸。通常であれば、大西洋上での爆撃訓練後、数時間以内に基地へ戻る予定であった。しかし午後3時過ぎ、指揮官機から「位置がわからない」「方角が確認できない」との異常な無線が入り、以降、通信は混乱を極めた。
地上管制は必死に帰還指示を送ったものの、各機は自分たちがどの方向に向かっているか把握できず、編隊は散開。最後の交信は夕方、「燃料が残り少ない」という声を最後に途絶えた。
海軍はただちに救難飛行艇や哨戒機を派遣し広範囲の捜索を開始したが、日没後は視界が急速に悪化。海は不気味なほど静まり返り、乗員14名の安否は依然不明のままである。
地元の沿岸警備隊員は「風も弱く、訓練には申し分ない天候だった。なぜ位置を見失ったのか理解できない」と首をかしげ、家族の一人は「ただ無事でいてほしい」と言葉を詰まらせた。周辺の漁師からは「海上で閃光を見た」との証言も上がっているが、真偽は確認されていない。
軍内部では、計器の故障、急激な天候変化、または編隊全体の方向感覚の喪失(空間識失調)の可能性が指摘されている。一方で、「複数機が同時に失われるのは極めて異例」との声もあり、原因究明には時間がかかる見通しだ。
海軍は明朝以降も捜索範囲を拡大する方針で、アメリカ中が乗員たちの無事を祈りながら続報を待っている。
突然姿を消した5機の行方をめぐり、大西洋上は不安と緊張に包まれている。
— RekisyNews 国際面 【1945年】
