【東京 12月1日】
本日、日本銀行は新たに制定された最高額紙幣である一万円札の発行を開始した。図柄の表面には飛鳥時代の政治家であり文化の担い手として知られる聖徳太子の肖像が採用され、裏面には法隆寺夢殿が描かれている。わが国の紙幣体系において一万円札が登場するのは初めてであり、金融界・経済界から大きな注目を集めている。
今回の新紙幣導入は、戦後急速に進んだ経済規模の拡大と、紙幣の高額化する取引需要に対応するための施策である。近年は企業間取引の増加や現金需要の高まりから、五千円札以下では扱いが煩雑となる場面が多く、より高額紙幣が求められていた。日本銀行関係者は「流通の合理化と取引の円滑化に寄与する」と語り、高額紙幣の必要性を強調した。
新一万円札は、最新技術による精緻な凹版印刷や特殊インクを用いた偽造防止策が施されている。一部の銀行支店では今朝から新札を求める人々が列を作り、窓口で受け取った新券を手に「想像よりも大きく、重みを感じる」と話す市民の姿も見られた。
商店街では早くも「高額紙幣への対応準備」を進める動きがあり、レジ係を務める若い店員は「お釣りの管理が大変になりそう」と不安を漏らす一方、卸売業者からは「まとまったやり取りがしやすくなる」と歓迎の声が上がっている。タクシー会社など現金を扱う職種では、新札への対応を記した注意文を運転手へ配布するなど、現場での周知も始まった。
一万円札の導入は、急伸する日本経済の現状を象徴する出来事だ。各方面で期待と戸惑いが入り交じる中、今回の高額紙幣発行が今後の貨幣流通にどのような影響を与えるか、引き続き注視される。
— RekisyNews 経済面 【1958年】
